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沖縄集団自決の真実を歪める産経「正論」
またまた、沖縄戦での集団自決についてです。

現在大阪地裁にて、座間味島の隊長であった梅澤裕氏と渡嘉敷島隊長故赤松嘉次氏の弟赤松秀一氏が原告となり「軍命令」の有無について係争中ですが、原告側が証拠で採用している「母の遺したもの」の著者・宮城晴美氏が、原告側の主張していることは「法廷を利用したプロパガンダである」と厳しく抗議しています。


研究者「沖縄戦ゆがめる」/「集団自決」訴訟の原告弁護士論文
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200610171700_03.html
(2006/10/17 夕刊5面 沖縄タイムス)
沖縄戦下の慶良間諸島の「集団自決」(強制集団死)の記述をめぐって大阪地裁で行われている「集団自決」訴訟に関し、月刊誌に掲載された原告団弁護士の論文について、沖縄戦の研究者らが十七日、県庁で記者会見し、「沖縄戦の真実をゆがめるものだ」と抗議の意見表明をした。論文について「沖縄戦研究者の書籍や論文から都合のいい文言だけを抜き出している」と指摘。それぞれ新聞紙上などで詳細に反論していくという。

意見表明は、沖縄国際大名誉教授の安仁屋政昭さん、同大非常勤講師の大城将保さん、女性史研究家の宮城晴美さん三人の連名。同大教授の石原昌家さんや、沖縄平和ネットワークの村上有慶代表らも同席した。

論文は、原告団の徳永信一弁護士が執筆、産経新聞社が発行する雑誌「正論」九月号に掲載された「沖縄集団自決冤罪訴訟が光を当てた日本人の真実」。「集団自決という悲劇の責任を『自決命令』という全くの虚構をもって二人の守備隊長に押し付け」たものだ、と被告の岩波書店や作家大江健三郎氏の著作を批判。安仁屋さんら三人の文章も引用されている。

アピール文は「都合のいい文言を抜き出して『沖縄戦研究者も原告の主張を認めている』という印象を与え、研究者の名前を利用している」と指摘する。大城さんは「引用文の中で、守備隊長の手記と、私の解説が混同されるなど、都合のいい解釈や虚構が目立つ。間違った認識を植え付けかねない」と主張。「黙ったまま記事の内容を追認するわけにはいかない」と訴えた。

三人は、同訴訟でも、原告の主張に対する反論の意見書を、書証として提出すると表明。村上代表は、事務局を引き受け、被告の岩波書店と大江氏を支援する輪を広げていく考えを示した。




↓で、こちらが「沖縄平和ネットワーク」のHPでみつけた抗議文です。



雑誌『正論』による沖縄戦の真実をゆがめる記述に抗議する


産経新聞社が発行する雑誌『正論』2006年9月号に『沖縄集団自決冤罪訴訟が光を当てた日本人の真実』という論文が発表された。この訴訟は,昨年8月5日に大阪地方裁判所に提訴され,現在係属中であるが、同訴訟の原告ら弁護団員の永信一氏が訴訟における原告の主張をそのまま展開したものである。


この裁判における原告は、沖縄戦当時に座間味島の隊長であった梅澤裕氏と渡嘉敷島隊長故赤松嘉次氏の弟赤松秀一氏であり、被告は岩波書店と『沖縄ノート』の著者である大江健三郎氏である。原告らは「両隊長の自決命令はなかった。」と主張し、岩波書店発行の『沖縄ノート』『太平洋戦争』『沖縄問題二十年』の虚偽の記述によって名誉を傷つけられたとして、被告らに対し、出版停止・謝罪広告及び慰謝料を求めた訴訟である。(但し,9月1日に『沖縄問題二十年』については訴えを取り下げた)更に昨年の提訴と同時に『沖縄集団自決冤罪訴訟を支援する会』が結成され「梅澤・赤松両氏の名誉を回復するだけでなく、日本の名誉を守り、子供たちを自虐的歴史認識から解放して、事実に基づく健全な国民の常識を取り戻す国民運動にしなければならない。」という目的を果たすべく法廷を利用したプロパガンダを展開し、今回の雑誌『正論』に発表された永信一氏の論文はその一環として出されたものである。これは同時に、沖縄戦の体験を持つ県民に対する挑戦ともいえよう。


私たちがこの論文について看過できないと考えたのは、第一に軍隊によって強制された集団死について、原告らと「沖縄集団自決冤罪訴訟を支援する会」が、この裁判をとおして「愛国心のために、自らの命を絶った。」として世間一般に流布するという目的にある。また彼らは、沖縄戦研究者の書籍や論文の中から自らに都合のいい文言だけを抜き出して沖縄戦研究者も原告の主張を認めている、という印象を与えるために、沖縄戦研究者の名前を利用している点である。


彼らは、裁判官に「軍命がなかった。」という事実認定をさせることによって、沖縄戦の真実を歪め、研究者が長年積み重ねてきた沖縄戦研究の成果を抜本的に変質させる意図のもとになされたものとして、私たちは看過することはできない。


沖縄戦の真実は、戦場化した沖縄を軍が統制し、軍と共に行動しその命令に従わざるをえなかった住民が、軍によって食料強奪や壕追い出しをされる中で恐怖と飢えに追い込まれ、或いはスパイ嫌疑によって殺害され、また死を強要される等、数多くの悲惨な犠牲を生み出したというものである。この真実をねじまげるということは、沖縄県民に向けられた攻撃ともいえよう。


私たちは、沖縄戦の真実を捻じ曲げる目的で書かれたこの雑誌『正論』の論文に対して、沖縄戦研究者として、また沖縄県民として到底容認することはできず、厳重に抗議する。今後、新聞紙上等において、それぞれが詳細な主張を行い、できうるならば裁判所に対しても反論の意見書を書証として提出する決意である。


以上、共同して意見表明とする。    2006年10月17日

安仁屋政昭  大城将保  宮城晴美
事務局    沖縄平和ネットワーク

http://okinawaheiwa.net/project/opinion.html



↓参考までに

「国立でむぱ研究室櫻分室」より
http://d.hatena.ne.jp/dempax/20050823
大江健三郎名誉毀損裁判関連
曽野綾子の「ノンフィクション」『ある神話の背景』の(レ)トリックを知りたい方は 安仁屋政昭『裁かれた沖縄戦』、宮城晴美『母の遺したもの 沖縄・座間味島「集団自決」の新しい証言』 の2冊は必読

だそうですので、時間があれば読んでみたいと思います。

ちなみに、前にも紹介しましたが、軍の関与を削除した文科省の検定結果を受け、原告の梅澤裕氏は「教科書の記述削除は目標の1つだった」と喜び。故赤松隊長の弟、赤松秀一氏は「原告として立ったのは、教科書に(自決命令)の記述があったから。削除されこれほど嬉しいことはない」と話しています。
(2007/03/31 沖縄タイムスより)

仮に2人の隊長が直接命令をだしてないことが事実だとして、戦後ずっと虚偽の報道に苦しんできたのなら謝罪も必要なんだろうと思いますが、軍による強制や関与があったという史実を削除した検定結果に、ここまで喜でる実態を知るとねぇ。

生き残った住民は、さまざまな後遺症に苦しんでいるというのに。。。

300人を超える住民が自決した渡嘉敷島
金城重明さん(78歳)の証言。自らの手で家族3人を殺した。決して自ら進んで自決したわけではない。
「進んで死んだという、殉国美談ですよ。大きな間違いです。殺したくて殺したんじゃない、死にたくて死んだんじゃないです。私は一生加害者として自分を意味づけている。しかしそれは国の大きな被害者です。」
(06/21放送 クローズアップ現代 “集団自決”62年目の証言より)


最後に、前回のエントリーで公言した文科省への電凸ですが、4回ほどかけたんですが担当者が不在とかで、今だに話せてません。(´・ω・`) ショボ~ン

つながったら一応アップするつもりです。

(このエントリーは、後から若干追記と訂正をしました。)

<当ブログの沖縄戦・集団自決に関するエントリー>
http://dj19.blog86.fc2.com/blog-category-7.html
<関連サイト>
宮城晴美(上)傷痕 のどに「集団自決」後遺症
http://www.okinawatimes.co.jp/spe/kaizu20020919.html


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いわゆる「愛国者」って何ですか?
自分らさえよければそれでよく、他者を思いやる心のない方々のことですか?
自己満足に過ぎない一時のメンツを優先する方々のことですか?
踊る勇者 | URL | 2007/06/30/Sat 07:54 [EDIT]
踊る勇者さんへ
難しい質問ですね。。。
愛国心は普通に誰にでもあるものだけどと思うんですが、それを声高に叫んで「国の名誉や誇りのために・・・・・」みたいな方にかぎって史実を歪めることに必死なんですよねぇ。
ん~。答えになってませんね(^^;
ちょっと面白いの見つけたんでこれ読んでみてください。
「愛国について語るのはもうやめませんか」
http://blog.tatsuru.com/2007/06/20_1056.php
やっしゃん | URL | 2007/07/01/Sun 15:19 [EDIT]
愛国心と照屋証言
愛国心について私も一言いいですか。
愛国心を強者から弱者へ強制するのは、それは自分に自信のない謙虚さに欠ける高慢者の証なのではないでしょうか。

国家権力から国民に、親から子へ行う場合それは、強権者=狂権者なのでは・・・・

ちょっと心配なのですが
照屋昇雄氏が昭和29年に援護課職員ではなかったとして、被告側は反論しているけど、29年に援護課就任辞令証書を本人が保存していたみたいで、写真入りで紹介しているブログを見つけたのです。
狼魔人日記の2007年6月15日です。
被告側に伝えましたら、以下のような返事が返ってきました。

照屋氏の経歴問題ですが、産経新聞の那覇市局長のブログに
援護課嘱託に命じられていた、という写真が出ていることは知って
います。しかし、この辞令でがあるからといって、100人以上の人か
ら聞きとり、誰も軍命だといった人がいなかったということにはなり
ません。次回、相手側が反論に出ると思われますが、どういう形で
出てくるのか、興味のあるところです。

大丈夫ですかね?






ほっと一息 | URL | 2007/07/03/Tue 22:32 [EDIT]

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