昨日コメ欄にてゴンベイさんに教えてもらったので以下にメモしときます。
2008/06/19 敗戦後、慰安婦を看護婦に 旧軍の命令、文書で初確認
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008061901000625.html
http://www.asyura2.com/08/asia11/msg/416.html
第2次大戦での日本の敗戦直後、旧海軍が日本人慰安婦を、軍病院の補助的な看護婦として雇用するよう命じた通達が19日までに、連合国側が暗号解読して作成した英公文書で判明した。研究者らは、慰安婦が看護婦に雇用された際の身分が軍属だった可能性が高いとみている。敗戦時に軍属雇用するという配慮から、軍が戦中に慰安婦管理に事実上深くかかわっていたとする見方を補強する貴重な史料としている。
従軍慰安婦問題では、政府の謝罪や補償の根拠となる当局の関与の度合いが問題となっており、今後の議論に影響を与えそうだ。「看護婦」とすることで、当局が慰安婦の存在を連合国側から隠ぺいしようとした可能性も指摘されている。
慰安婦を看護婦としたことは元兵士らの証言や、オーストラリア人ジャーナリストの著書の中で出典不明で紹介されたことがあったが、その命令が原文に近い形で確認されたのは初めてとみられる。関東学院大の林博史教授(現代史)が英国立公文書館で発見した。(共同)
■当ブログの「従軍慰安婦」関連エントリ一覧
http://dj19.blog86.fc2.com/blog-category-12.html
2008/06/19 敗戦後、慰安婦を看護婦に 旧軍の命令、文書で初確認
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008061901000625.html
http://www.asyura2.com/08/asia11/msg/416.html
第2次大戦での日本の敗戦直後、旧海軍が日本人慰安婦を、軍病院の補助的な看護婦として雇用するよう命じた通達が19日までに、連合国側が暗号解読して作成した英公文書で判明した。研究者らは、慰安婦が看護婦に雇用された際の身分が軍属だった可能性が高いとみている。敗戦時に軍属雇用するという配慮から、軍が戦中に慰安婦管理に事実上深くかかわっていたとする見方を補強する貴重な史料としている。
従軍慰安婦問題では、政府の謝罪や補償の根拠となる当局の関与の度合いが問題となっており、今後の議論に影響を与えそうだ。「看護婦」とすることで、当局が慰安婦の存在を連合国側から隠ぺいしようとした可能性も指摘されている。
慰安婦を看護婦としたことは元兵士らの証言や、オーストラリア人ジャーナリストの著書の中で出典不明で紹介されたことがあったが、その命令が原文に近い形で確認されたのは初めてとみられる。関東学院大の林博史教授(現代史)が英国立公文書館で発見した。(共同)
■当ブログの「従軍慰安婦」関連エントリ一覧
http://dj19.blog86.fc2.com/blog-category-12.html
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従軍慰安婦で国会決議へ、日本に謝罪求める フィリピン
http://www.asahi.com/international/update/0312/TKY200803120035.html
(2008/03/12 朝日)
フィリピン下院の外交委員会は11日、日本政府に対して、「従軍慰安婦」と呼ばれる太平洋戦争時の性暴力被害者への公式な謝罪と補償を求める決議案を全会一致で可決した。近く開かれる本会議でも可決される可能性が高く、日本に謝罪を求める同国初の決議となる。同様の決議は07年に米、カナダ、オランダの各下院と欧州議会で可決され、今回、フィリピンでの審議が本格化するきっかけとなった。
決議案は「日本で最近、93年に河野洋平官房長官(当時)が発表した元慰安婦に対するおわびと反省の談話を薄め、無効にしようとする動きがある」と指摘。日本政府が従軍慰安婦問題に対する責任を公式に認め、謝罪し、被害者に補償するよう比政府に求めた。
この日の審議を元慰安婦の女性約10人が傍聴。被害者と名乗り出て運動を始めて16年。「やっと肩の荷が下りた」と、パナイ島出身の被害者エリサ・アルメソルさん(80)は涙を浮かべた。
元慰安婦の活動を支援する団体「リラ・ピリピナ」によると、同会に名乗り出た被害者約170人のうち56人がすでに他界。支援者は「残された時間は少ない」と話す。
http://www.asahi.com/international/update/0312/TKY200803120035.html
(2008/03/12 朝日)
フィリピン下院の外交委員会は11日、日本政府に対して、「従軍慰安婦」と呼ばれる太平洋戦争時の性暴力被害者への公式な謝罪と補償を求める決議案を全会一致で可決した。近く開かれる本会議でも可決される可能性が高く、日本に謝罪を求める同国初の決議となる。同様の決議は07年に米、カナダ、オランダの各下院と欧州議会で可決され、今回、フィリピンでの審議が本格化するきっかけとなった。
決議案は「日本で最近、93年に河野洋平官房長官(当時)が発表した元慰安婦に対するおわびと反省の談話を薄め、無効にしようとする動きがある」と指摘。日本政府が従軍慰安婦問題に対する責任を公式に認め、謝罪し、被害者に補償するよう比政府に求めた。
この日の審議を元慰安婦の女性約10人が傍聴。被害者と名乗り出て運動を始めて16年。「やっと肩の荷が下りた」と、パナイ島出身の被害者エリサ・アルメソルさん(80)は涙を浮かべた。
元慰安婦の活動を支援する団体「リラ・ピリピナ」によると、同会に名乗り出た被害者約170人のうち56人がすでに他界。支援者は「残された時間は少ない」と話す。
フィリピンの下院外交委員会(クエンコ委員長)で慰安婦決議案が採択されたのは1998年以来10年ぶりだそうです。決議案は昨年の8月に上下両院に提出されていましたが、これで下院本会議で採択される可能性が出てきました。
決議案124号(HR00124)の原文と日本語訳はこちら
・ HR00124 日本語訳 - Stiffmuscle@ianhu - 従軍慰安婦問題を論じる
今回の決議案の流れや各国の報道、速報についてはこちら
・日本軍性奴隷制問題- Gazing at the Celestial Blue
碧猫さんStiffmuscleさんいつもご苦労様です。

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『本日の水木サン』より
「戦争中の話だが、敵のいる前線に行くために、「ココボ」という船着場についた。ここから前線へ船が出るのだ。そういうところには必ずピー屋がある。ピー屋というのは女郎屋のことである。(中略)ピー屋の前に行ったが、何とゾロゾロと大勢並んでいる。日本のピーの前には百人くらい、ナワピー(沖縄出身)は九十人くらい、朝鮮ピーは八十人くらいだった。これを一人の女性で処理するのだ。僕はその長い行列を見て、一体いつできるのだろうと思った。一人三十分としてもとても今日中にできるとは思われない、軽く一週間くらいかかるはずだ。しかし兵隊はこの世の最期だろうと思ってはなれない、しかし・・・・・いくらねばっても無駄なことだ。僕は列から離れることにした。そして朝鮮ピーの家を観察したのだ。ちょうどそのとき朝鮮ピーはトイレがしたくなったのだろう、小屋から出てきた。
(彼女がナニカを排泄する様子の描写)
とてもこの世のこととは思えなかった。第一これから八十人くらいの兵隊をさばかねばならぬ。兵隊は精力ゼツリンだから大変なことだ。それはまさに「地獄の場所」だった。兵隊だって地獄に行くわけだが、それ以上に地獄ではないか。と、トイレに行った朝鮮ピーを見て思った。よく従軍慰安婦のバイショウのことが新聞に出たりしているが、あれは体験のない人にはわからないだろうが・・・・やはり「地獄」だったと思う。だからバイショウはすべきだろうナ。」
(*水木しげるの他の著作「水木しげる伝~戦中編~」によれば、彼女たちはこの後、病院船でココポを離れたが、途中潜水艦にやられ、全員が死亡したという。)
響 鏡子の服毒日記 - ココポの出来事から転載
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『水木しげるのラバウル戦記』P30より
「上陸した頃は、ココボはまだ陸軍の基地で、たしか一〇三兵站病院もあり従軍慰安婦もいた。彼女たちは「ピー」と呼ばれていて、椰子林の中の小さな小屋に一人ずつ住んでおり、日曜とか祭日にお相手をするわけだが、沖縄の人は「縄ピー」、朝鮮の人は「朝鮮ピー」と呼ばれていたようだ。彼女たちは徴兵されて無理矢理つれてこられて、兵隊と同じような劣悪な待遇なので、みるからにかわいそうな気がした。」
==================================
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『総員玉砕せよ!』P14.15より
慰安所の様子(クリックすると大きくなります)

関連リンク
・水木しげる『姑娘』に描かれた皇軍兵士による強制連行と性暴力
・日本軍将兵の証言・手記にみる慰安婦強制の実態

以下メモしときます。
カナダ下院、慰安婦問題の謝罪求める決議採択
http://www.asahi.com/international/update/1129/TKY200711290084.html
(2007/11/29 朝日新聞 強調は引用者)
カナダ下院は28日、第2次大戦時の「従軍慰安婦」問題をめぐり日本政府に謝罪を求める決議案を全会一致で採択した。法的拘束力はないが、カナダ政府が日本に必要な措置をとるよう求めている。
決議は「旧日本軍は性的強制労働の目的で女性の徴用を命じた」とし、日本が全被害者に「正式で誠意のある謝罪」をするよう求める内容。
今年3月に下院の小委員会が採択した決議案では、日本が学校教科書に慰安婦の事実を記述することも求めていたが、最終的にはその部分は削除され、非難色が薄められた。
決議案は今年3月、当時の安倍首相による慰安婦をめぐる発言が報じられた後、野党の新民主党の中国系女性議員が提出していた。今年7月、米下院も日本の謝罪を求める決議を採択している。
7月にアメリカ下院が従軍慰安婦問題に対する日本の謝罪を要求する決議を採択。
今月の8日には、オランダ下院も決議を採択。そしてこんどはカナダ下院が決議を採択ですかぁ……。日本に対する謝罪要求が安倍前総理の狭義の強制性否定発言以降、国際的広がりをみせています…orz
原文 2007年11月28日15時30分(カナダ時間)採択。
http://www.oliviachow.ca/page/282
Motions
By unanimous consent, Ms. Chow (Trinity―Spadina), seconded by Mr. Devolin (Haliburton―Kawartha Lakes―Brock) and, by unanimous consent, by Mr. Lee (Scarborough―Rouge River) and Ms. Faille (Vaudreuil-Soulanges), moved, ― That, in the opinion of the House:
i. During its wartime occupation of Asia and the Pacific Islands, from the 1930s through the duration of World War II, the Imperial Armed Forces of Japan officially commissioned the acquisition of young women for the sole purpose of sexual servitude, who became known as “comfort women”; and
ii. Some Japanese public officials have recently expressed a regrettable desire to dilute or rescind the 1993 statement by Chief Cabinet Secretary Yohei Kono on the “comfort women”, which expressed the Government's sincere apologies and remorse for their ordeal; and
iii. Japan has made progress since 1945 in recognizing and atoning for its past actions, and for many decades has been a major contributor to international peace, security, and development, including through the United Nations; and
iv. The Canada-Japan alliance continues to be based on shared vital interests and values in the Asia-Pacific region, including the preservation and promotion of political and economic freedoms, support for human rights and democratic institutions, and the securing of prosperity for the people of both countries and the international community; and
v. The government of Canada should therefore encourage the government of Japan to abandon any statement which devalues the expression of regret from the Kono Statement of 1993; to clearly and publicly refute any claims that the sexual enslavement and trafficking of the “comfort women” for the Japanese lmperial Forces never occurred; to take full responsibility for the involvement of the Japanese Imperial Forces in the system of forced prostitution, including through a formal and sincere apology expressed in the Diet to all of those who were victims; and to continue to address those affected in a spirit of reconciliation.
The question was put on the motion and it was agreed to.
<関連ブログ>
・カナダの『慰安婦』謝罪・賠償決議に関するニュース [Stiffmuscleの日記]
・カナダ下院「慰安婦」謝罪要求動議を公式採択 [13日の水曜日]
・今日の従軍慰安婦ワールドニュース [解決不能]
・カナダ下院も日本政府に慰安婦謝罪要求 [薫のハムニダ日記]
・カナダの『慰安婦』謝罪・賠償決議 [従軍慰安婦問題を論じる]
カナダ下院、慰安婦問題の謝罪求める決議採択
http://www.asahi.com/international/update/1129/TKY200711290084.html
(2007/11/29 朝日新聞 強調は引用者)
カナダ下院は28日、第2次大戦時の「従軍慰安婦」問題をめぐり日本政府に謝罪を求める決議案を全会一致で採択した。法的拘束力はないが、カナダ政府が日本に必要な措置をとるよう求めている。
決議は「旧日本軍は性的強制労働の目的で女性の徴用を命じた」とし、日本が全被害者に「正式で誠意のある謝罪」をするよう求める内容。
今年3月に下院の小委員会が採択した決議案では、日本が学校教科書に慰安婦の事実を記述することも求めていたが、最終的にはその部分は削除され、非難色が薄められた。
決議案は今年3月、当時の安倍首相による慰安婦をめぐる発言が報じられた後、野党の新民主党の中国系女性議員が提出していた。今年7月、米下院も日本の謝罪を求める決議を採択している。
7月にアメリカ下院が従軍慰安婦問題に対する日本の謝罪を要求する決議を採択。
今月の8日には、オランダ下院も決議を採択。そしてこんどはカナダ下院が決議を採択ですかぁ……。日本に対する謝罪要求が安倍前総理の狭義の強制性否定発言以降、国際的広がりをみせています…orz
原文 2007年11月28日15時30分(カナダ時間)採択。
http://www.oliviachow.ca/page/282
Motions
By unanimous consent, Ms. Chow (Trinity―Spadina), seconded by Mr. Devolin (Haliburton―Kawartha Lakes―Brock) and, by unanimous consent, by Mr. Lee (Scarborough―Rouge River) and Ms. Faille (Vaudreuil-Soulanges), moved, ― That, in the opinion of the House:
i. During its wartime occupation of Asia and the Pacific Islands, from the 1930s through the duration of World War II, the Imperial Armed Forces of Japan officially commissioned the acquisition of young women for the sole purpose of sexual servitude, who became known as “comfort women”; and
ii. Some Japanese public officials have recently expressed a regrettable desire to dilute or rescind the 1993 statement by Chief Cabinet Secretary Yohei Kono on the “comfort women”, which expressed the Government's sincere apologies and remorse for their ordeal; and
iii. Japan has made progress since 1945 in recognizing and atoning for its past actions, and for many decades has been a major contributor to international peace, security, and development, including through the United Nations; and
iv. The Canada-Japan alliance continues to be based on shared vital interests and values in the Asia-Pacific region, including the preservation and promotion of political and economic freedoms, support for human rights and democratic institutions, and the securing of prosperity for the people of both countries and the international community; and
v. The government of Canada should therefore encourage the government of Japan to abandon any statement which devalues the expression of regret from the Kono Statement of 1993; to clearly and publicly refute any claims that the sexual enslavement and trafficking of the “comfort women” for the Japanese lmperial Forces never occurred; to take full responsibility for the involvement of the Japanese Imperial Forces in the system of forced prostitution, including through a formal and sincere apology expressed in the Diet to all of those who were victims; and to continue to address those affected in a spirit of reconciliation.
The question was put on the motion and it was agreed to.
<関連ブログ>
・カナダの『慰安婦』謝罪・賠償決議に関するニュース [Stiffmuscleの日記]
・カナダ下院「慰安婦」謝罪要求動議を公式採択 [13日の水曜日]
・今日の従軍慰安婦ワールドニュース [解決不能]
・カナダ下院も日本政府に慰安婦謝罪要求 [薫のハムニダ日記]
・カナダの『慰安婦』謝罪・賠償決議 [従軍慰安婦問題を論じる]

右派言論人が慰安婦問題の第一人者と称してる秦郁彦氏は、著書「慰安婦と戦場の性」(1999年、新潮選書)の中で、米国国立公文書館(National Archives and Records Administration以下NARA)にあるという米軍の尋問記録を引用し、それを根拠に「官憲が強制連行するはずがない」と主張しているのだが、慰安婦問題に取り組んでるStiffmuscleさんがメールでNARAに問い合わせてみたところ、保管している記録文書の中にそのような尋問記録は見当たらなかったそうです。
そこで、Stiffmuscleさんが引用文献の公開を求めるエントリーを立ち上げたので当ブログでも紹介することにします。
詳しくはこちらをお読みください。
Stiffmuscleの日記「文書公開のお願い」
以下は、リンク先で名前の上がっている秦郁彦氏、尾形美明氏、加瀬英明氏についての関連情報
■秦郁彦氏
秦郁彦『慰安婦と戦場の性』批判 林博史より
この本は、ずさんな仕事の代表的なケースでしょう。この小文でも紹介したような、写真や図表の無断盗用、資料の書換え・誤読・引用ミス、資料の混同、意味を捻じ曲げる恣意的な引用・抜粋などの例をリストアップしてみたのですが、膨大な量になりあきれてしまいました。
Stiffmuscleの日記「どくしょのじかん 2」より
秦郁彦氏が、著書「慰安婦と戦場の性」の中で米軍の尋問記録を改ざんして紹介。
■尾形美明氏
「史実を世界に発信する会」事務局長の茂木弘道というトンデモ系のデムパが自由主義史観HPに「今回加瀬代表からこれは抗議の手紙を米議会に送るべきだと提案があり、直ちに案文の作成に取り掛かった。本会のメンバーでもある尾形美明氏が原案を作成してくださることになり、それを基にまとまったのが添付の抗議の手紙である。」という投稿をしていることから、「史実を世界に発信する会」のメンバーらしい。
■加瀬英明氏(Wikipedia)
加瀬 英明(かせ ひであき、1936年12月22日 )
日本会議代表委員。史料に基づいた日本語の文献を英訳してネット上に公開する「史実を世界に発信する会」の代表を務める。「新しい歴史教科書をつくる会」世話人を務めるも、内部分裂により八木秀次らと共に2006年6月脱退、「日本教育再生機構」発起人の一人。
ランキングに参加してます。いつもクリックありがとうございます。

そこで、Stiffmuscleさんが引用文献の公開を求めるエントリーを立ち上げたので当ブログでも紹介することにします。
詳しくはこちらをお読みください。
Stiffmuscleの日記「文書公開のお願い」
以下は、リンク先で名前の上がっている秦郁彦氏、尾形美明氏、加瀬英明氏についての関連情報
■秦郁彦氏
秦郁彦『慰安婦と戦場の性』批判 林博史より
この本は、ずさんな仕事の代表的なケースでしょう。この小文でも紹介したような、写真や図表の無断盗用、資料の書換え・誤読・引用ミス、資料の混同、意味を捻じ曲げる恣意的な引用・抜粋などの例をリストアップしてみたのですが、膨大な量になりあきれてしまいました。
Stiffmuscleの日記「どくしょのじかん 2」より
秦郁彦氏が、著書「慰安婦と戦場の性」の中で米軍の尋問記録を改ざんして紹介。
■尾形美明氏
「史実を世界に発信する会」事務局長の茂木弘道というトンデモ系のデムパが自由主義史観HPに「今回加瀬代表からこれは抗議の手紙を米議会に送るべきだと提案があり、直ちに案文の作成に取り掛かった。本会のメンバーでもある尾形美明氏が原案を作成してくださることになり、それを基にまとまったのが添付の抗議の手紙である。」という投稿をしていることから、「史実を世界に発信する会」のメンバーらしい。
■加瀬英明氏(Wikipedia)
加瀬 英明(かせ ひであき、1936年12月22日 )
日本会議代表委員。史料に基づいた日本語の文献を英訳してネット上に公開する「史実を世界に発信する会」の代表を務める。「新しい歴史教科書をつくる会」世話人を務めるも、内部分裂により八木秀次らと共に2006年6月脱退、「日本教育再生機構」発起人の一人。
ランキングに参加してます。いつもクリックありがとうございます。



フィリピンでも慰安婦決議案提出 上院、日本に謝罪要求
(2007/08/11 東京新聞)
【マニラ11日共同】第2次大戦中の従軍慰安婦問題をめぐり、日本政府に謝罪などを求める決議案が11日までに、フィリピン上院に提出された。下院でも同様の動きがあり、同国の元慰安婦らがつくる団体などは同日、米下院本会議が7月末に可決した決議を評価するとともに、フィリピン上下両院での動きを歓迎する声明を発表した。
決議案は日本政府の公式謝罪と補償や、フィリピン政府の医療支援などを求める内容。野党議員が7月末に提出した。過去にも提出例があるが、元慰安婦のフリア・ポラスさん(78)は「フィリピン議会が米議会と連帯することを願う」と訴えた。下院では今月中旬に野党議員数人が連名で提出する予定。
(以上)
<慰安婦決議案 関連ニュース>
■カナダ下院で慰安婦決議案 人権小委で採択(2007/03/30 産経iza)
■米下院 慰安婦決議案全文
ここからは、ゴンベイさんと傍観者Aさんが、コメ欄にて教えてくれた情報を紹介します。
当ブログの以前のエントリー「トム・ラントス氏とマイク・ホンダ氏を名誉毀損で訴えようという日本人がいるんですが……。」の続報なんですが、伊勢さんに早くも脂肪フラグが立ったようです。
■*minx* [macska dot org in exile] 事実とは無関係に勝ち目のない裁判より
それにしても、よくもここまで無駄に盛り上がっていられるものだ。この訴訟って、仮に慰安婦問題の事実関係が全てこの人たちの言う通りであったとしても、それでも100%勝ち目ないのに。
参考資料:アメリカ合衆国憲法(米国駐日大使館サイトより)
第1条第6節 (一)
上院議員および下院議員は、その役務に対し、法律で確定され、合衆国国庫から支出される報酬を受ける。両議院の議員は、反逆罪、重罪および公安を害する罪以外のあらゆる場合において、会期中の議院に出席中、あるいはこれへの往復途上で、逮捕されない特権を有する。議員はまた、議院内における発言あるいは討議について、議院外で審問されることはない。
そしてもう1つ。
ワシントンポスト紙に「THE FACTS」というデマ広告を載せた国会議員のことは記憶に新しいですが、民主党・泉健太衆議院議員の名前が賛同したり署名に応じた認識が全く無いのに、賛同人の1人として記されていたことが判明しました。
■黒川滋の活動日記「きょうも歩く」より
泉議員はこの釈明できちんとした政治的態度が判明したものの、なぜ掲載されるようなハメに陥ったのか、もう少し丁寧に書くべきだろう。彼らに仲間とみなされるような変な議連とか、うさんくさい議員たちのネットワークに入っているとか、いろいろな疑義も残る。
また、こうしたインチキ広告を出す窓口になった同僚議員の名前も公開すべきだろう。有権者はそれでしか判断ができない。
■衆議院議員 泉ケンタの活動報告
応援クリックお願いしますヽ(・∀・ )ノ

(2007/08/11 東京新聞)
【マニラ11日共同】第2次大戦中の従軍慰安婦問題をめぐり、日本政府に謝罪などを求める決議案が11日までに、フィリピン上院に提出された。下院でも同様の動きがあり、同国の元慰安婦らがつくる団体などは同日、米下院本会議が7月末に可決した決議を評価するとともに、フィリピン上下両院での動きを歓迎する声明を発表した。
決議案は日本政府の公式謝罪と補償や、フィリピン政府の医療支援などを求める内容。野党議員が7月末に提出した。過去にも提出例があるが、元慰安婦のフリア・ポラスさん(78)は「フィリピン議会が米議会と連帯することを願う」と訴えた。下院では今月中旬に野党議員数人が連名で提出する予定。
(以上)
<慰安婦決議案 関連ニュース>
■カナダ下院で慰安婦決議案 人権小委で採択(2007/03/30 産経iza)
■米下院 慰安婦決議案全文
ここからは、ゴンベイさんと傍観者Aさんが、コメ欄にて教えてくれた情報を紹介します。
当ブログの以前のエントリー「トム・ラントス氏とマイク・ホンダ氏を名誉毀損で訴えようという日本人がいるんですが……。」の続報なんですが、伊勢さんに早くも脂肪フラグが立ったようです。
■*minx* [macska dot org in exile] 事実とは無関係に勝ち目のない裁判より
それにしても、よくもここまで無駄に盛り上がっていられるものだ。この訴訟って、仮に慰安婦問題の事実関係が全てこの人たちの言う通りであったとしても、それでも100%勝ち目ないのに。
参考資料:アメリカ合衆国憲法(米国駐日大使館サイトより)
第1条第6節 (一)
上院議員および下院議員は、その役務に対し、法律で確定され、合衆国国庫から支出される報酬を受ける。両議院の議員は、反逆罪、重罪および公安を害する罪以外のあらゆる場合において、会期中の議院に出席中、あるいはこれへの往復途上で、逮捕されない特権を有する。議員はまた、議院内における発言あるいは討議について、議院外で審問されることはない。
そしてもう1つ。
ワシントンポスト紙に「THE FACTS」というデマ広告を載せた国会議員のことは記憶に新しいですが、民主党・泉健太衆議院議員の名前が賛同したり署名に応じた認識が全く無いのに、賛同人の1人として記されていたことが判明しました。
■黒川滋の活動日記「きょうも歩く」より
泉議員はこの釈明できちんとした政治的態度が判明したものの、なぜ掲載されるようなハメに陥ったのか、もう少し丁寧に書くべきだろう。彼らに仲間とみなされるような変な議連とか、うさんくさい議員たちのネットワークに入っているとか、いろいろな疑義も残る。
また、こうしたインチキ広告を出す窓口になった同僚議員の名前も公開すべきだろう。有権者はそれでしか判断ができない。
■衆議院議員 泉ケンタの活動報告
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正直悩んでます。
8/6(月)TBSラジオ ストリーム ニュースさかさメガネ
『米下院が決議「慰安婦問題での謝罪要求」は真珠湾への道か?』
http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/2007/08/86_7611.html
◯小西克哉さんと佐藤優さんとの対談です。聞きながら取ったメモ的なものを掲載。
佐藤:慰安婦問題は、実は小泉政権のときから積み重ねられた
佐藤:アジア助成基金の方から説明が足りない、アメリカ人がどういうふうに考えるかという情報収集をおこたった
佐藤:日本の外務省の人間達が、慰安婦の記録を読んで慰安婦の人達の話しを聞いてですね、あっこんなことがあったのかということで、まず自分達の気持ちとして何をできるのかといことを考える、そこのところで考えて、日本の国としてやれることはなんなのか、過去にやってきたことはなんなのか、といった形で、何が国益かを考えなければいけないんですよね。
小西:先に行政担当者が説明すべきであって、総理大臣が国会でいきなり狭義とか広義とか言う事態、もう遅いということですよね。
佐藤:アウトですよ。
小西:つまり、それは専門家の歴史学者が討議する問題と、総理大臣を含めた政策担当者の問題、これは分けて考えなければいけない。
佐藤: 私は分けて考えなければいけないと思います。
小西:日本では特に右派のメディアの中では、これが1つの陰謀説であると、在アメリカの中国系の団体がホンダさんを使って、こういった決議をさせているというね。1つの、まあ、陰謀説のようなものがあるんですが、このへんどう思いますか?
佐藤:陰謀はつねにやりたいと思ってる人がいるんですよね。それができないわけなんですよ。
(ここまで)
(自分と歴史認識が違うことは置いといて)アメリカや他国から、日本がどう思われるかというのも大事なことだけど、日本として今後どうしていくかという主体性が足りないんだよなぁ、この人の話。
(このエントリーは、書きかけです。)

8/6(月)TBSラジオ ストリーム ニュースさかさメガネ
『米下院が決議「慰安婦問題での謝罪要求」は真珠湾への道か?』
http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/2007/08/86_7611.html
◯小西克哉さんと佐藤優さんとの対談です。聞きながら取ったメモ的なものを掲載。
佐藤:慰安婦問題は、実は小泉政権のときから積み重ねられた
佐藤:アジア助成基金の方から説明が足りない、アメリカ人がどういうふうに考えるかという情報収集をおこたった
佐藤:日本の外務省の人間達が、慰安婦の記録を読んで慰安婦の人達の話しを聞いてですね、あっこんなことがあったのかということで、まず自分達の気持ちとして何をできるのかといことを考える、そこのところで考えて、日本の国としてやれることはなんなのか、過去にやってきたことはなんなのか、といった形で、何が国益かを考えなければいけないんですよね。
小西:先に行政担当者が説明すべきであって、総理大臣が国会でいきなり狭義とか広義とか言う事態、もう遅いということですよね。
佐藤:アウトですよ。
小西:つまり、それは専門家の歴史学者が討議する問題と、総理大臣を含めた政策担当者の問題、これは分けて考えなければいけない。
佐藤: 私は分けて考えなければいけないと思います。
小西:日本では特に右派のメディアの中では、これが1つの陰謀説であると、在アメリカの中国系の団体がホンダさんを使って、こういった決議をさせているというね。1つの、まあ、陰謀説のようなものがあるんですが、このへんどう思いますか?
佐藤:陰謀はつねにやりたいと思ってる人がいるんですよね。それができないわけなんですよ。
(ここまで)
(自分と歴史認識が違うことは置いといて)アメリカや他国から、日本がどう思われるかというのも大事なことだけど、日本として今後どうしていくかという主体性が足りないんだよなぁ、この人の話。
(このエントリーは、書きかけです。)



最近なんだか体調が悪くてブログの更新どころじゃなかったんで取り上げるの遅くなりましたが、米国下院での慰安婦決議案可決を受け トム・ラントス氏とマイク・ホンダ氏を日本国家・国民への名誉毀損 で訴えようという、無謀な日本人がいることを、数日前に池田信夫 blogで知り気になってました。
ルイジアナ州在住の尾崎信義(HN:伊勢平次郎)氏という人物なんですが、何者なんでしょうか?
こちらが問題の伊勢平次郎氏のブログ
(こちらは伊勢氏のもう1つのブログサンデーブログ)
この人、以前にコモリン(自民党右派御用言論人、古森義久)のブログでコモリンと熱いバトルしてたよなぁ…、いつの記事だっけかなぁ……。
と、思っていたら産経ウオッチャーwの師匠pr3さんが取り上げてくれました。
「黙然日記」より
古森義久氏と名誉毀損訴訟
(一部転載)
……あれ? 訴訟を起こそうとしている尾崎信義氏というのは、以前古森blogで暴れて、ジャーナリストのはずの古森義久氏が「名誉毀損で訴えるぞ」と脅迫までして黙らせようとした、伊勢平次郎(iseheijiro)氏のことじゃありませんか。
そうだ!思いだした!って感じですかね。
それにしても伊勢平次郎氏のブログを見ると、マンセーコメントがすごいですね。まぁ新風信者が17万人しかいないことが明らかになったんでそれほど驚きませんが。
さてさて、どうなることやら。
(このエントリーは書きかけです。)
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ルイジアナ州在住の尾崎信義(HN:伊勢平次郎)氏という人物なんですが、何者なんでしょうか?
こちらが問題の伊勢平次郎氏のブログ
(こちらは伊勢氏のもう1つのブログサンデーブログ)
この人、以前にコモリン(自民党右派御用言論人、古森義久)のブログでコモリンと熱いバトルしてたよなぁ…、いつの記事だっけかなぁ……。
と、思っていたら産経ウオッチャーwの師匠pr3さんが取り上げてくれました。
「黙然日記」より
古森義久氏と名誉毀損訴訟
(一部転載)
……あれ? 訴訟を起こそうとしている尾崎信義氏というのは、以前古森blogで暴れて、ジャーナリストのはずの古森義久氏が「名誉毀損で訴えるぞ」と脅迫までして黙らせようとした、伊勢平次郎(iseheijiro)氏のことじゃありませんか。
そうだ!思いだした!って感じですかね。
それにしても伊勢平次郎氏のブログを見ると、マンセーコメントがすごいですね。まぁ新風信者が17万人しかいないことが明らかになったんでそれほど驚きませんが。
さてさて、どうなることやら。
(
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「諸君!」2007年8月号 僕が出会った気高き慰安婦たち
http://www.bunshun.co.jp/mag/shokun/index.htm
伊藤桂一(小説家・詩人) 聞き手 野田明美
p149~150より引用
伊藤:(略)軍は慰安所に無関係だった、あれは民間が勝手にやったことだという意見も耳にするけど、そんなことはない。僕は「慰安婦募集の一記録」という一文を書いたことがあります。満州にいた関東軍の第六国境守備隊隊長だった菱田という大佐が、北満州の西崗子という町に、軍の管理する慰安所を作ったという話です。
この人は、大佐には珍しく下情に通じた人だった。士官学校や陸軍大学校など日本の軍人育成学校の欠陥は、軍事は教えても人間のことは教えなかったことじゃないかと思うんですが、そのなかで珍しく兵隊の気持ちの分かる人だった。例えば、駐屯地にいる軍人、軍属の家族に「婦人の下着類を望楼から見えるところに干さないでくれ」という通達を出したことがある。望楼から双眼鏡で監視している兵隊を刺激しないように、という配慮なんですね。
彼の慰安所計画は、憲兵隊長の強い反対にあいます。“民間人がやるならともかく、軍みずから慰安所を作るなんてとんでもない”と。しかし、菱田部隊長は“君たちは料亭の女を専有してるからよい。兵隊たちは性の処理をどうするんだ”と反論して、これを認めさせた。民間人に任せると性病がこわいし、情報も漏れる。それならいっそ軍がしっかり管理して、慰安婦たちにも安心して働いてもらおうというのが菱田大佐の発想なんですね。
ーーその話は直接聞かれたんですか?
伊藤:菱田大佐の部隊にいた人に詳しく聞きました。その慰安所は「満州第十八部隊」と名付けられました。
慰安婦は、朝鮮の慶尚北道で募集し、志願してきた女性は軍属として、判任官待遇とする。玉代は四十分 一円五十銭。衣食住は軍持ち。前借も無期限、無利子で自分の稼ぎによって返済する。つまり、稼げば稼ぐだけ、前借している金を返すことができるわけです。民間の慰安所の場合、楼主夫婦をお母さん、お父さんと呼んで擬似一家の構成にしているから、稼いでも途中でピンはねされてしまうという弊害があった。しかし、軍の慰安所にはそういう心配は、もちろんありませんでした。
そのほか、軍は管理するけど生活には干渉しないとか、そういった条件をきちんとうたって募集したんです。
ーー女性たちは集まったんですか?
伊藤:たちまち二百人集まったそうです。募集地を慶尚道にしたのは、あの辺りの女性は気質もいいし団結も強い、という理由だったそうです。慰安所の建物は、松、竹、梅と三つあって、一人に一部屋があてがわれた。壁に掛かっている慰安婦の外套の襟には、軍属のマークが縫い付けられている。判任官のものですから、上等兵より階級は上なんですね(笑)。
(以下略)
ここまで書き写してから気づいたんですが、これすでに「思考錯誤」で取り上げられてました(^^;
(こちら)、、、まぁ、“メモ”ちゅうことで一応アップしときます。
伊藤桂一氏
「螢の川」で第46回直木賞受賞、他に「悲しき戦記」「静かなノモハン」など。
1917年生まれで、1937年に徴兵検査を受け、1938年1月に現役兵として習志野の騎兵連隊に入営、約4年間を華北(山西省付近)で過ごし、1941年に上等兵になり、同年9月に日本に帰還し除隊になり、1年の休養後、1943年3月に召集され、今度は歩兵として中支(安徽省付近)へ送られ、終戦は伍長として上海郊外で迎えた。

http://www.bunshun.co.jp/mag/shokun/index.htm
伊藤桂一(小説家・詩人) 聞き手 野田明美
p149~150より引用
伊藤:(略)軍は慰安所に無関係だった、あれは民間が勝手にやったことだという意見も耳にするけど、そんなことはない。僕は「慰安婦募集の一記録」という一文を書いたことがあります。満州にいた関東軍の第六国境守備隊隊長だった菱田という大佐が、北満州の西崗子という町に、軍の管理する慰安所を作ったという話です。
この人は、大佐には珍しく下情に通じた人だった。士官学校や陸軍大学校など日本の軍人育成学校の欠陥は、軍事は教えても人間のことは教えなかったことじゃないかと思うんですが、そのなかで珍しく兵隊の気持ちの分かる人だった。例えば、駐屯地にいる軍人、軍属の家族に「婦人の下着類を望楼から見えるところに干さないでくれ」という通達を出したことがある。望楼から双眼鏡で監視している兵隊を刺激しないように、という配慮なんですね。
彼の慰安所計画は、憲兵隊長の強い反対にあいます。“民間人がやるならともかく、軍みずから慰安所を作るなんてとんでもない”と。しかし、菱田部隊長は“君たちは料亭の女を専有してるからよい。兵隊たちは性の処理をどうするんだ”と反論して、これを認めさせた。民間人に任せると性病がこわいし、情報も漏れる。それならいっそ軍がしっかり管理して、慰安婦たちにも安心して働いてもらおうというのが菱田大佐の発想なんですね。
ーーその話は直接聞かれたんですか?
伊藤:菱田大佐の部隊にいた人に詳しく聞きました。その慰安所は「満州第十八部隊」と名付けられました。
慰安婦は、朝鮮の慶尚北道で募集し、志願してきた女性は軍属として、判任官待遇とする。玉代は四十分 一円五十銭。衣食住は軍持ち。前借も無期限、無利子で自分の稼ぎによって返済する。つまり、稼げば稼ぐだけ、前借している金を返すことができるわけです。民間の慰安所の場合、楼主夫婦をお母さん、お父さんと呼んで擬似一家の構成にしているから、稼いでも途中でピンはねされてしまうという弊害があった。しかし、軍の慰安所にはそういう心配は、もちろんありませんでした。
そのほか、軍は管理するけど生活には干渉しないとか、そういった条件をきちんとうたって募集したんです。
ーー女性たちは集まったんですか?
伊藤:たちまち二百人集まったそうです。募集地を慶尚道にしたのは、あの辺りの女性は気質もいいし団結も強い、という理由だったそうです。慰安所の建物は、松、竹、梅と三つあって、一人に一部屋があてがわれた。壁に掛かっている慰安婦の外套の襟には、軍属のマークが縫い付けられている。判任官のものですから、上等兵より階級は上なんですね(笑)。
(以下略)
ここまで書き写してから気づいたんですが、これすでに「思考錯誤」で取り上げられてました(^^;
(こちら)、、、まぁ、“メモ”ちゅうことで一応アップしときます。
伊藤桂一氏
「螢の川」で第46回直木賞受賞、他に「悲しき戦記」「静かなノモハン」など。
1917年生まれで、1937年に徴兵検査を受け、1938年1月に現役兵として習志野の騎兵連隊に入営、約4年間を華北(山西省付近)で過ごし、1941年に上等兵になり、同年9月に日本に帰還し除隊になり、1年の休養後、1943年3月に召集され、今度は歩兵として中支(安徽省付近)へ送られ、終戦は伍長として上海郊外で迎えた。



以下は、2007年3月 季刊『中帰連』40号に掲載された梶村太一郎(かじむら・たいちろう)氏の文章です。
(この文章は無断転載を禁じられていますが、一部転載について許可を得ました。また、補足のためのリンクはこちらで加えました。)
歴史修正主義者が大半を占める安倍政権下の国会で、辻元清美衆議院議員が八日に提出した「安倍首相の『慰安婦』問題への認識に関する質問主意書」に対する、安倍内閣総理大臣による政府答弁書が出されたのは一六日のことだ。彼女が即時それをHPに掲載したところ、AP通信が引用し「この政府公式見解には『政府は発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった』とあり、強制売春には証拠がないと主張している」と速報した。オランダのバルケンエンデ首相は一九日、同国の公共ラジオで「わたしがこの報道を知ったのは、この日の閣議の席です。この報道は確かなもので、急いで外務大臣に日本大使に接触するようその場で要請しました。決して無視できないことですから」と述べている。一七日のオランダの主要紙は「日本大使を召喚」との一面の記事で「首相は慰安婦に強制的に売春行為をさせたことを否定する日本政府に立腹している。犠牲者のなかにはオランダ人もいた。この種の発言について過去数週間に何度か説明を求めているのに明確な回答を得ていないので、日本大使の召喚を決定した。首相は『日本政府の最近の方向転換の理由がなんであるのかに非常な関心がある。(新たな否定に)不愉快な驚きを覚えている』と述べた」と伝えた(NRCハンデルスブラット紙。村岡崇光氏の翻訳による)。オランダの首相が激怒するには十分な理由があるのだ。
ところで、中山成彬議員を会長とする自民党の国会議連「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」が八日に政府に対して提出した「慰安婦」問題での提言書に、次の言葉がある。
「我々の調査では、民間の業者による本人の意思に反する強制連行はあっても、軍や政府による強制連行という事実はなかった。一件だけ、ジャワ島における『スマラン事件』があったが、これは直ちに処分されており、むしろ軍による強制連行がなかったことを示すものである」
すなわち、彼らですら否定することができない強制連行の証拠がオランダ人「慰安婦」に関してあるのだ。このハーグの王立公文書館に眠っていた史料を初めて手にして訳出した日本人は、他ならぬわたしである。
蘭領東印度バタビア臨時軍法会議の「スマラン事件」で懲役12年となった能崎清次陸軍中将に対する判決文原文(冒頭部分)。「判決、女王の名において!」とある。右上には「スマラン強制売春」との手書きの書き込みが見られる。1949年2月18日。

いきさつはこうだ。一九九二年の春、当時オランダの元捕虜や民間人が起こそうとしていた強制労働補償裁判の準備のために、新美隆弁護士、田中宏教授らがオランダを訪問したのに同行した。九〇年に結成された「対日道義補償請求財団」との協議のなかで、理事長が「強制売春の被害者はわたしたちの仲間にもおり、裁判記録もある」と述べたのだ。当時は韓国人「元慰安婦」の三人が初めて提訴して半年にもならない時期である。聞き逃せない言葉だ。やがて理事長からベルリンのわたしのもとへ、バタビア臨時軍法会議によるBC級戦犯裁判の中の強制売春に関する二件の判決文と公判記録の分厚い書類が届いた(上の写真)。
当時は使用に価する蘭日辞典などもないため、蘭独辞典を脇に解読を試みたのだが、その内容に眠られぬほど興奮したことだけは忘れられない。問題は正確な翻訳の実現だ。一計を案じたわたしは、ドイツ人の友人を通してドイツ語が抜群にできるオランダ人を捜した。ドイツ人女性と結婚してベルリンに在住しているオランダ人をうまく紹介してもらうことができた。自宅に訪ねてみると、なんと彼は若いのにインドネシア領ニューギニア生まれで、母方の祖母がインドネシア人であるという。事情を詳しく話してドイツ語への翻訳を承諾していただいたのだが、その時の彼の言葉も忘れられない。「もしこの話を、わたしの父がここで聴けば、目の前のテーブルの上に飛び乗り、地団駄を踏んで怒り狂うでしょう。それほど日本人を恨んでいます」と言うのだ。オランダに健在である老父も日本軍に長年抑留され、インドネシアの独立で財産を一切失ったひとりなのだ。
とまれ、彼マトーさんのすばらしいドイツ語訳と原文を前に翻訳をすすめ、朝日新聞が第一報をしたのは七月二一日。それを終えて、夏休みを兼ねて直接ハーグの公文書館とアムステルダムの戦争資料館を長期間訪問し、新たに史料提供を受けた。それらを基にして、かなり詳しい報道ができたのは八月末になってからである。その間、オランダ紙も詳しく事実と背景を報道している。同地でも大ニュースとなった。
オランダ政府はこれを契機に、膨大な史料を専門家にゆだね、九四年一月に「日本占領下蘭領東印度におけるオランダ人女性に対する強制売春に関する政府所蔵文書調査報告書」を発表した。いわゆる「慰安婦」問題とは、事実において「日本軍による直接の強制売春でもあった」ことを証明する動かぬ証拠史料である。「スマラン事件」だけでも死刑一名を含む一一名が強制売春罪などで有罪となった。他に同計画を始めた大佐は日本国内の自宅で連合軍の尋問を受け、裁判を逃れるため二日後に寺院の境内で割腹自殺している。彼は「強制の責任を他に押し付ける遺書」を残しており、軍法会議の証拠となっている。(注1)
したがって「発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」とする政府答弁は、九三年八月の河野談話以前の言い分であっても、朝日新聞の報道と、遅くともオランダ政府報告書発表後は日本政府としては決して採れないはずだ。オランダ政府が、「日本政府は見解を変えた」と判断して釈明を求めるのは、極めて正当な要求である。
にもかかわらず、安倍首相が、いまだにこのような答弁を平気でするのは、前述の「提言」にあるように「スマラン事件」は「これは直ちに処分されており、むしろ軍による強制連行がなかったことを示すもの」とする見解によるからだ。彼が先輩の中山成彬議員ら歴史修正主義者たちによる、絵に描いたような史実の曲解を信じているからに他ならない。
ここでの「直ちに処分された」とは、東京の陸軍省俘虜管理部の小田島大佐が抑留所視察の際、たまたま娘を強制連行された親から事実を知らされ、慰安所閉鎖処置を命令したことを示すが、それだけである。このことは軍が強制連行と強制売春が違法であることを承知しており、「強制連行があった」ことの証拠にはなっても、決して「強制連行がなかったことを示す」ものではない。事実は、陸軍刑法で禁止されている強姦罪などで処罰されるべきであったのに、日本軍による関係者の処分は一切無かったのである。処罰はオランダの軍法会議で行なわれたのであった。
(※スマラン事件では、日本軍は関係者の処罰を一切行なわなかったうえ、犯行を計画実行した能崎清次少尉を中将に昇進させ、敗戦直前には勲一等瑞宝章を授与しています。)
ところで、史実を広義と狭義にわけて否定する手口は、歴史修正主義の常套手段でもある。欧米社会では、いわゆる「ホロコースト否定」派との論争で、これとの闘いの体験を積み重ねており、一切通用しない恥ずべき、特にドイツでは犯罪のレトリックとして排除される。「広義の強制連行はあっても、狭義の官憲による直接の強制連行の資料はない」とする政府答弁書の立場は、九二年のドイツ連邦政府の議会における答弁「ナチスによるユダヤ人虐殺はあっても、証明されている歴史事実であるガス室での大量虐殺は、命令書など証拠が発見されないため無かったなどとするのが狭義の修正主義である」との定義にそのまま当てはまっている。したがって一六日の政府答弁は安倍内閣が歴史修正主義の立場を採ることを閣議決定で表明したことになる。撤回する以外に、国際社会ではいかなる弁明の余地もないことを知るべきである。
(中略)
前述のように、わたしは九二年の夏休み、家族連れでオランダを訪問した。連れ合いと子どもたちは観光と海水浴へ、わたしは公文書館で史料の閲覧の毎日であった。そのころすでにオランダ政府は、オランダ人女性強制売春に関する報告書作成の準備に着手していた。このとき信頼関係ができた政府関係者のひとりから次のようなことを聴いた。「『スマラン事件』は氷山の一角で、おそらくヨーロッパ系の女性の被害者で確認できるのは数百人でしょう。しかし、中国系被害者はもっと多く、インドネシア人女性にいたっては膨大な人数です。その史料もありますが、内容がすさまじく、外交的配慮から公表はできません」
こう語る相手の真剣な表情がいま甦ってくる。あれから一五年後の今、安倍政権が政府答弁を撤回しないかぎり、それに応じたオランダ政府の「外交的配慮」の変化もありうると十分推定できる。そうなれば歴史の大きな闇が、また天日下に曝され、ついに「轍鮒を枯魚の市に訪う」ことになるであろう。
(三月二一日脱稿)
(注一)判決は「オランダ女性慰安婦強制事件に関するバタビア臨時軍法会議判決」新美隆解説『季刊戦争責任研究』第三号、九三年冬号。事件の概要については『従軍慰安婦』吉見義明、岩波新書を参照されたし。
(注二)ドイツ政府の見解は『ジャーナリズムと歴史認識』梶村太一郎、凱風社、七八ページを参照。
梶村太一郎(かじむら・たいちろう)
1974年以来、ベルリン在住。ジャーナリスト。
(ここまで)
梶村氏の文章の信憑性が高いことを裏付けるニュース
従軍慰安婦:オランダが釈明求める書簡 意見広告掲載で
(2007年6月29日 毎日新聞 魚拓)
第二次大戦中の従軍慰安婦問題で、オランダ下院のフェルベート議長は28日、日本の国会議員らが、女性を慰安婦として強制的に動員した事実はなかったと反論する意見広告を米紙に掲載したことなどに関し、釈明を求める書簡を河野洋平衆院議長に送付した。下院報道官が共同通信に同日、明らかにした。
日本側の対応次第では、米下院外交委員会が公式謝罪を求める決議を可決したのに続き、オランダでも批判が噴出する可能性がある。日本占領下のインドネシアで慰安婦にされた国民がいるオランダでは、安倍晋三首相の3月の「(動員に)強制性を裏付けるものはなかった」との発言や意見広告を受け、バルケネンデ首相が「あまりにも不適切だ」と不快感を表明している。(ブリュッセル共同)
(ここまで)
■軍による強制連行を裏付ける証拠資料
■最高裁判所が、旧日本軍が連行、監禁、強姦したことを事実認定
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(この文章は無断転載を禁じられていますが、一部転載について許可を得ました。また、補足のためのリンクはこちらで加えました。)
歴史修正主義者が大半を占める安倍政権下の国会で、辻元清美衆議院議員が八日に提出した「安倍首相の『慰安婦』問題への認識に関する質問主意書」に対する、安倍内閣総理大臣による政府答弁書が出されたのは一六日のことだ。彼女が即時それをHPに掲載したところ、AP通信が引用し「この政府公式見解には『政府は発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった』とあり、強制売春には証拠がないと主張している」と速報した。オランダのバルケンエンデ首相は一九日、同国の公共ラジオで「わたしがこの報道を知ったのは、この日の閣議の席です。この報道は確かなもので、急いで外務大臣に日本大使に接触するようその場で要請しました。決して無視できないことですから」と述べている。一七日のオランダの主要紙は「日本大使を召喚」との一面の記事で「首相は慰安婦に強制的に売春行為をさせたことを否定する日本政府に立腹している。犠牲者のなかにはオランダ人もいた。この種の発言について過去数週間に何度か説明を求めているのに明確な回答を得ていないので、日本大使の召喚を決定した。首相は『日本政府の最近の方向転換の理由がなんであるのかに非常な関心がある。(新たな否定に)不愉快な驚きを覚えている』と述べた」と伝えた(NRCハンデルスブラット紙。村岡崇光氏の翻訳による)。オランダの首相が激怒するには十分な理由があるのだ。
ところで、中山成彬議員を会長とする自民党の国会議連「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」が八日に政府に対して提出した「慰安婦」問題での提言書に、次の言葉がある。
「我々の調査では、民間の業者による本人の意思に反する強制連行はあっても、軍や政府による強制連行という事実はなかった。一件だけ、ジャワ島における『スマラン事件』があったが、これは直ちに処分されており、むしろ軍による強制連行がなかったことを示すものである」
すなわち、彼らですら否定することができない強制連行の証拠がオランダ人「慰安婦」に関してあるのだ。このハーグの王立公文書館に眠っていた史料を初めて手にして訳出した日本人は、他ならぬわたしである。
蘭領東印度バタビア臨時軍法会議の「スマラン事件」で懲役12年となった能崎清次陸軍中将に対する判決文原文(冒頭部分)。「判決、女王の名において!」とある。右上には「スマラン強制売春」との手書きの書き込みが見られる。1949年2月18日。

いきさつはこうだ。一九九二年の春、当時オランダの元捕虜や民間人が起こそうとしていた強制労働補償裁判の準備のために、新美隆弁護士、田中宏教授らがオランダを訪問したのに同行した。九〇年に結成された「対日道義補償請求財団」との協議のなかで、理事長が「強制売春の被害者はわたしたちの仲間にもおり、裁判記録もある」と述べたのだ。当時は韓国人「元慰安婦」の三人が初めて提訴して半年にもならない時期である。聞き逃せない言葉だ。やがて理事長からベルリンのわたしのもとへ、バタビア臨時軍法会議によるBC級戦犯裁判の中の強制売春に関する二件の判決文と公判記録の分厚い書類が届いた(上の写真)。
当時は使用に価する蘭日辞典などもないため、蘭独辞典を脇に解読を試みたのだが、その内容に眠られぬほど興奮したことだけは忘れられない。問題は正確な翻訳の実現だ。一計を案じたわたしは、ドイツ人の友人を通してドイツ語が抜群にできるオランダ人を捜した。ドイツ人女性と結婚してベルリンに在住しているオランダ人をうまく紹介してもらうことができた。自宅に訪ねてみると、なんと彼は若いのにインドネシア領ニューギニア生まれで、母方の祖母がインドネシア人であるという。事情を詳しく話してドイツ語への翻訳を承諾していただいたのだが、その時の彼の言葉も忘れられない。「もしこの話を、わたしの父がここで聴けば、目の前のテーブルの上に飛び乗り、地団駄を踏んで怒り狂うでしょう。それほど日本人を恨んでいます」と言うのだ。オランダに健在である老父も日本軍に長年抑留され、インドネシアの独立で財産を一切失ったひとりなのだ。
とまれ、彼マトーさんのすばらしいドイツ語訳と原文を前に翻訳をすすめ、朝日新聞が第一報をしたのは七月二一日。それを終えて、夏休みを兼ねて直接ハーグの公文書館とアムステルダムの戦争資料館を長期間訪問し、新たに史料提供を受けた。それらを基にして、かなり詳しい報道ができたのは八月末になってからである。その間、オランダ紙も詳しく事実と背景を報道している。同地でも大ニュースとなった。
オランダ政府はこれを契機に、膨大な史料を専門家にゆだね、九四年一月に「日本占領下蘭領東印度におけるオランダ人女性に対する強制売春に関する政府所蔵文書調査報告書」を発表した。いわゆる「慰安婦」問題とは、事実において「日本軍による直接の強制売春でもあった」ことを証明する動かぬ証拠史料である。「スマラン事件」だけでも死刑一名を含む一一名が強制売春罪などで有罪となった。他に同計画を始めた大佐は日本国内の自宅で連合軍の尋問を受け、裁判を逃れるため二日後に寺院の境内で割腹自殺している。彼は「強制の責任を他に押し付ける遺書」を残しており、軍法会議の証拠となっている。(注1)
したがって「発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」とする政府答弁は、九三年八月の河野談話以前の言い分であっても、朝日新聞の報道と、遅くともオランダ政府報告書発表後は日本政府としては決して採れないはずだ。オランダ政府が、「日本政府は見解を変えた」と判断して釈明を求めるのは、極めて正当な要求である。
にもかかわらず、安倍首相が、いまだにこのような答弁を平気でするのは、前述の「提言」にあるように「スマラン事件」は「これは直ちに処分されており、むしろ軍による強制連行がなかったことを示すもの」とする見解によるからだ。彼が先輩の中山成彬議員ら歴史修正主義者たちによる、絵に描いたような史実の曲解を信じているからに他ならない。
ここでの「直ちに処分された」とは、東京の陸軍省俘虜管理部の小田島大佐が抑留所視察の際、たまたま娘を強制連行された親から事実を知らされ、慰安所閉鎖処置を命令したことを示すが、それだけである。このことは軍が強制連行と強制売春が違法であることを承知しており、「強制連行があった」ことの証拠にはなっても、決して「強制連行がなかったことを示す」ものではない。事実は、陸軍刑法で禁止されている強姦罪などで処罰されるべきであったのに、日本軍による関係者の処分は一切無かったのである。処罰はオランダの軍法会議で行なわれたのであった。
(※スマラン事件では、日本軍は関係者の処罰を一切行なわなかったうえ、犯行を計画実行した能崎清次少尉を中将に昇進させ、敗戦直前には勲一等瑞宝章を授与しています。)
ところで、史実を広義と狭義にわけて否定する手口は、歴史修正主義の常套手段でもある。欧米社会では、いわゆる「ホロコースト否定」派との論争で、これとの闘いの体験を積み重ねており、一切通用しない恥ずべき、特にドイツでは犯罪のレトリックとして排除される。「広義の強制連行はあっても、狭義の官憲による直接の強制連行の資料はない」とする政府答弁書の立場は、九二年のドイツ連邦政府の議会における答弁「ナチスによるユダヤ人虐殺はあっても、証明されている歴史事実であるガス室での大量虐殺は、命令書など証拠が発見されないため無かったなどとするのが狭義の修正主義である」との定義にそのまま当てはまっている。したがって一六日の政府答弁は安倍内閣が歴史修正主義の立場を採ることを閣議決定で表明したことになる。撤回する以外に、国際社会ではいかなる弁明の余地もないことを知るべきである。
(中略)
前述のように、わたしは九二年の夏休み、家族連れでオランダを訪問した。連れ合いと子どもたちは観光と海水浴へ、わたしは公文書館で史料の閲覧の毎日であった。そのころすでにオランダ政府は、オランダ人女性強制売春に関する報告書作成の準備に着手していた。このとき信頼関係ができた政府関係者のひとりから次のようなことを聴いた。「『スマラン事件』は氷山の一角で、おそらくヨーロッパ系の女性の被害者で確認できるのは数百人でしょう。しかし、中国系被害者はもっと多く、インドネシア人女性にいたっては膨大な人数です。その史料もありますが、内容がすさまじく、外交的配慮から公表はできません」
こう語る相手の真剣な表情がいま甦ってくる。あれから一五年後の今、安倍政権が政府答弁を撤回しないかぎり、それに応じたオランダ政府の「外交的配慮」の変化もありうると十分推定できる。そうなれば歴史の大きな闇が、また天日下に曝され、ついに「轍鮒を枯魚の市に訪う」ことになるであろう。
(三月二一日脱稿)
(注一)判決は「オランダ女性慰安婦強制事件に関するバタビア臨時軍法会議判決」新美隆解説『季刊戦争責任研究』第三号、九三年冬号。事件の概要については『従軍慰安婦』吉見義明、岩波新書を参照されたし。
(注二)ドイツ政府の見解は『ジャーナリズムと歴史認識』梶村太一郎、凱風社、七八ページを参照。
梶村太一郎(かじむら・たいちろう)
1974年以来、ベルリン在住。ジャーナリスト。
(ここまで)
梶村氏の文章の信憑性が高いことを裏付けるニュース
従軍慰安婦:オランダが釈明求める書簡 意見広告掲載で
(2007年6月29日 毎日新聞 魚拓)
第二次大戦中の従軍慰安婦問題で、オランダ下院のフェルベート議長は28日、日本の国会議員らが、女性を慰安婦として強制的に動員した事実はなかったと反論する意見広告を米紙に掲載したことなどに関し、釈明を求める書簡を河野洋平衆院議長に送付した。下院報道官が共同通信に同日、明らかにした。
日本側の対応次第では、米下院外交委員会が公式謝罪を求める決議を可決したのに続き、オランダでも批判が噴出する可能性がある。日本占領下のインドネシアで慰安婦にされた国民がいるオランダでは、安倍晋三首相の3月の「(動員に)強制性を裏付けるものはなかった」との発言や意見広告を受け、バルケネンデ首相が「あまりにも不適切だ」と不快感を表明している。(ブリュッセル共同)
(ここまで)
■軍による強制連行を裏付ける証拠資料
■最高裁判所が、旧日本軍が連行、監禁、強姦したことを事実認定
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